【アクセス解析】出口ページに見るホームページ改善点

著者: 株式会社環  ▼2006年9月8日 11:00 □国内internet.com発の記事
http://japan.internet.com/wmnews/20060908/print26.html

「入口ページ」「出口ページ」はホームページの状況を一目で把握できると共に、問題点を早期に発見できる重要な指標である。

第5回の「合コンに見る不十分なランディングページ対策 」でも「入口ページ」「出口ページ」については述べたが、今回は「出口ページ」について説明したい。

改めて説明すると、「入口ページ」(ランディングページ)とは、「訪問者がそのホームページの中で最初に見たページ」であり、「出口ページ」とは、「訪問者がそのホームページの中で最後に見たページ」である。

コンサルティングで現場を見ていると、入口ページに気をとられるあまり、出口ページの検討がおろそかになっている場合も多い。

ホームページを成功させるには、以下が必要である。

・アクセス数を増やす
・申込率を増やす

アクセス数を増やすのは入口ページの改良や広告戦略によるところが大きい。申込率を増やすには出口ページの改良やホームページ内の構造によるところが大きい。

・訪問者を逃がしているのはどのページか
・訪問者を逃がしているのはどのサイトフローか

出口ページを調べたとき、特定のページのアクセス数が大きいということは、そのページが訪問者を逃がしている数が大きいということである。出口ページは入口ページ同様「使える」指標である。

問題のインパクト順に改善

ある企業でアクセス解析を導入し、分析したところ主な出口ページは特定の数ページに偏っていた。

そのページをチェックしたところ、リンク切れ(リンクをクリックしても次のページが表示されない状態)になっている所が複数見つかった。リンク切れは、ホームページの信用を落とす要素のひとつであり、見た人はそれ以降そのホームページに訪れなくなる恐れがある。これはユーザビリティの問題である(そもそもリンク切れは、ユーザビリティ以前の問題ともいえるが…)。もちろん、ユーザビリティテストやリンク切れのテストを実施することで発見できる問題でもある。出口ページ分析の方が優れている点は、問題のインパクトの順に対策が打てる点である。

ユーザビリティテストの場合、問題の深刻さによって分類される。例えば、リンク切れがひとつあるより、ふたつあるほうが大きな問題として挙げられる。

出口ページから分析するメリットは、問題のインパクトによって分類される。その問題(リンク切れなど)の結果起きている離脱の多い方が大きな問題として挙げられる。

この企業では、すぐに「リンク切れ」部分を修正した結果、訪問者の出口ページでの離脱数も減少した。また、問い合わせも増加した(このリンク切れ対策だけの成果ではないが)。

可読性の悪さが離脱を招く

あるソフトウェア会社では、「自社の問い合わせが少ないのは検索エンジンの順位でひけを取っているからだ」と SEO を実施した。アクセス数はある程度増加したが肝心の問い合わせ数が伸びず、アクセス解析コンサルティングを依頼した。


その結果、「申込方法」のページで多数の離脱を招いていることが分かった。そのページを確認すると、以下のような問題点が浮かび上がってきた。

・文字の説明しかないため、読んでもよく分からない
・価格表へのリンクがあり、価格も様々なタイプが用意されているのだが、複雑すぎて分かりにくい

SEO 対策として、検索エンジンに評価されやすいテキストデータを載せた結果、可読性(ターゲットユーザーに合わせ、読んで分かりやすい文章になっているか)が落ちてしまったのである。

そこで、以下のような手法を提案した。

・文字の説明に加えチャートや図表を加える
・価格に関しては代表的なタイプのみを掲載する
・「申込方法」ページに、電話での問い合わせ方法を記載する
・「申込方法」ページの数か所にお問い合わせフォームへのリンクを設ける

離脱の原因

離脱の原因は大きく分けて3つある。

1. コンテンツの問題
2. ユーザビリティの問題
3. 可読性の問題

他社に比べ差別化されていない商品、魅力のないコンテンツであることが訪問者の離脱を増やすことも多い。しかし、2や3の問題を解決する方が容易であることは言うまでもない。

出口ページには、様々なヒントが隠されている。出口ページはホームページ改善の解決策が詰まったページでもあるのだ。ホームページの改善では、どうしても「アクセス数の増加」に目が行きがちである。ただ、アクセス数を上げる前に「現状アクセスしてくれている訪問者を逃がさない」ことを先に考えると、アクセス数の増加を図った際に得られる効果も大きくなるのである。

記事提供:株式会社環